千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

糖尿病で蛋白尿(アルブミン尿)が見つかった人に、腎臓内科医として絶対伝えたいたった一つの事 

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 腎臓内科として日頃から糖尿病で腎臓が悪くなった人を多くみます。糖尿病で腎臓内科に紹介され受診した人の多くは今後透析になっていく人が多いのが現状です。僕は『なるべく透析にならない』ような医療をしたくて腎臓内科になる事を決めた手前、目の前の患者さんだけでなく、日本に300万人もいると言われている糖尿病の患者さん、特にその中で2割ぐらいを占める、症状は無いけど、蛋白尿(アルブミン尿)が出ているような進行早期の方に是非知ってもらいたくてこのブログを書いています。

 

 

 ちなみに、僕の医者として大事にしているのは、研修医時代の恩師がよく言っていた『健康よりも自由の方が大事である!』という言葉であり、スタンスになっています。

 

 健康のためにケーキ食べたらダメ、ラーメン食べたらダメ、だめだめ・・・・、という風にやたらむやみに患者さんの意思を無視して頭ごなしにダメダメいう医者にだけなりたくないと思っています。

 

 健康でいたいけど、接待で不規則な生活をしなくちゃいけないとか、妻の料理の味付けが濃くてなかなか塩分制限が出来ないとか、ケーキ好きだから食べちゃうという、人間の性であったり、矛盾にこそ、人間らしさがあり、だからこそ医者の仕事は面白いんじゃないかとも思っています。

 

 そんな基本ゆるーいスタンスの私でも、自分の家族が糖尿病だったらしっかり薬を内服して欲しいと思います。少なくとも、糖尿病という病気については知ってもらいたいと思います。糖尿病で腎臓が悪くなった人の多くは、『知らなかった』事を後悔しているように見えます。では行きましょう。(今回は2型糖尿病の話です。)

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取り敢えず、下の図を見てください。今日の肝です。 

 

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糖尿病性腎症ならびに腎硬化症の診療水準向上と重症化防止にむけた調査・研究 研究班 編  

(上の経過はあくまで典型例であり例外もあります。)

 

『糖尿病ですけど、何か?』(青〜黄色の左半分)

この図で第一に大事になるのは、糖尿病になってから数年間何も起きないという事です。この記事を読んでいる多くの人は、健康診断とかで『あなたは糖尿病です。』って言われたけど、別に生活に困ってないし、『糖尿病ですけど、何か?』ってというスタンスの方が多いと思います。上の図でいうと青〜黄色の左半分の人ですね。

 

症状も無いし、困っていないので不規則な生活を続ける方も多く、糖尿病の薬も面倒くさいし、病院も待ち時間多いから行かないっていう方が多くいます。医者の中には糖尿病になったけど治療しない人達を『考えられない、何かあっても自己責任だからな』と言う人もいますが、飲み会大好き、朝まで飲むぞーっていうタイプの駄目駄目な情けない医者の私は、少しだけ理解出来てしまいます。

 

結果、日本の糖尿病患者さんでしっかり治療継続しているのは半分くらいと言われています。残りの半分は、症状が出るまで病院に来なくなるのが糖尿病治療における大きな問題点となっています。どんなに良い薬が出ても、結局薬を飲み続ける人が少ないのが現状

 

なんか、物が見えにくいんですけど、後痺れがあります。(黄色の右半分)

放置していた患者さんが再び病院にくるのがこの時期です。目の霞み、痺れのような症状が出てやっと治療の必要性を感じて治療を行います。上の薄いオレンジの部分の左半分くらいの段階です。この時すでに、顕性腎症と言われる段階の一歩手前の状態です。この顕性腎症と言われる段階で、黒線がいきなり急降下しているのが悪いのが分かると思います。つまり顕性腎臓の時に急激に腎臓が悪くなっていきます。健康な人の腎臓が100点とすると、多い人では毎年20点ぐらい腎臓の機能が落ちる事も多々あります。そういう人はいままで健康だったのにたった5年くらいで腎臓の機能が10点、20点になってしまいます。

 

腎臓がドンドン悪くなっていきます。(オレンジの部分)

腎臓は、体に必要なものを再吸収して、不要なものを外に出す役割があります。腎臓働きが落ちるとむくんで体がパンパンになったり、不要物が体に溜まって味覚が低下したり、食欲がなくなったり、下手すると意識が朦朧としたりします。結果、腎臓で出来ない事を『透析』で賄うしかなくなってしまいます。濃いオレンジの領域がこの段階ですね。

 

じゃあどうやって見つけるの?(オレンジの実線、点線に注目)

糖尿病はなかなか症状が出ないくせに、いざ症状が出た時には目の前に暗黒の世界が待ち受けているという点がとっても厄介だと個人的には思っています。そこで、症状が出る前に、体のSOSを発見しようと試みが行われました。そこで見つかったのが、アルブミン尿、蛋白尿です。

 

アルブミン、蛋白は身体に必要な成分なのにも関わらず、尿に出てきているという事は腎臓が悲鳴をあげているという事の照明になります。症状が出る前に体内の異常を発見する良い指標になります。

 

糖尿病って治るの?

そこで気になるのは、糖尿病による腎臓の障害は果たして治るのかという話です。端的に言うと、あまりはっきり分かっていません。ちなみに腎臓は大方、一度壊れると再生しない臓器です。そのため従来は、アルブミン尿や蛋白尿は一度出てしまうと一生出っ放しだと言われていました。しかし、近年、早期に治療を行えばある程度再生する可能性がある事が分かってきました。

 

大事な事なのでもう一度書きましょう。早期治療介入すれば、治るが可能性あります。

 

10年くらい前の研究では、正しく治療をすれば黄色左半分だった人の半分ぐらいが青色の所まで回復しました。また最近の研究では薄いオレンジの所まで行ってしまった人は厳しい中でも頑張れば半分程の人が黄色の所まで回復する事が分かっています。

 

しかしながら、濃いオレンジの所まで行ってしまった人はなかなか厳しいのが現状です。大切なのは早めにしっかり治療介入する事です。

 

最後に伝えたい事。

実は私は医者でありながら、自身あまり長生きしたいとは思っていません。健康に気をつけるばかり、楽しい事を我慢するような生活をしたくはありません。飲み会大好き、肉大好き、酒大好きな人間です。

 

しかし、とある日本の有名な作家が残した名言通り、『高齢化社会になり、死を自らがデザインする時代になった』という言葉は医者をやっていて非常に本質をついていると痛感される事がとても多いのも事実です。

 

糖尿病で蛋白尿、アルブミン尿が見つかった方々が、もし私のこの記事を読んでいただけているのであれば、少しだけでも構いませんので、今後のあなたの糖尿病との付き合い方に想いを寄せて頂けると幸いです。

 

僕は、冒頭で『健康』よりも『自由』を尊重する医者です。糖尿病を放置する事は『自由』です。その選択を私は最大限尊重します。(勿論、医療費の問題を考えると私の判断は間違っています。)

 

しかし『知らなかった』とは言ってほしくはありません。早期であれば、少し生活習慣を変えて、薬を少し飲むだけで多くはコントロールできます。今の時代、採血は近くの施設ですぐに出来、遠隔診療で病院に行かなくても薬はもらえます。薬の質はものすごく上がってます。

 

大方の糖尿病が患者さんの『意志、選択』で予後は大きく左右されるようになってきています。是非とも、私のこの記事で糖尿病との付き合い方に想いを寄せて頂けるような機会を作っていただければ私として幸いです。では失礼しました。

 

 

*二点補足

(分かりやすさのために敢えて正確な表現を崩している部分が多くあります。糖尿病を専門にしている先生方にとっては大変失礼な表現をしているかもしれませんが、必要悪と判断してそうしております。お許しください。)

 

(糖尿病の中には食事制限したり、内服を頑張っても中々コントロールできない事もあります。全ての糖尿病において悪化=怠惰の構図が成立するわけではありません。糖尿病と必死に戦っている方とっては不適切な表現が含まれているかもしれません。ご了承頂けると幸いです。)

 

専門医制度に振り回される初期研修医二年目の先生方へ

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専門医制度、特に内科の専門医制度が揺れています。実際、昨年研修二年目だった自分も専門医制度のゴタゴタがあり大きく振り回されました立場でした。なので、現在研修医二年目の先生達の苛立ちは本当に分かります。私自身、相当苛立っていました。私の同級生の多くも相当苛立ち、特に研修期間が長くなる内科領域を辞めるような人も一杯いました。

 

 当時、専門医制度は立派な専門医を育てるために作られた仕組みであるのに関わらず、出て来る話は『医局の覇権の復活』を匂わせる制度であったり、何のために書かなくてはいけない『大量のレポート』の話だったりして、『結局この制度は僕達の事なんて何も考えていないじゃん!』と毎日憤っていました。最終的に専門医制度は一年延期になり、現行制度で継続になりました。

 

 僕の同級生達は、専門医制度が代わる前提で物事を考えていた人が多く、多くの人が大学病院や都内のブランド病院に行きました。一方で僕は地域の誰も名前を知らないような慢性期の病院に行くことにしました。

 

 学生の時に小児救急を含めた救急医療をやりたくて都内のブランド病院を研修先に選んだ訳ですが、実際働いて、運ばれてくる患者さんたちを見て、根本的な問題点は日頃からの日頃の生活習慣にあると考え、特に問題意識の強い腎臓内科になる事にしました。

 

 当初、自分も都内の大学病院に勤務しようと思っていました。今後の専門医制度の動向を考えると医局に属したほうが無難と考えたためです。しかしながら、ある日1人で酔っ払って物思いにふけていた時に、医局に入って自分がやりたいこと、特に腎臓領域の生活習慣の改善指導や、保健師を含めた地域医療、公衆衛生的なアプローチのような事を医者3年目からすぐ取り組めるような気がせず、自分のやりたい事を先送りにするのがどうしても嫌になり、全国各地どこでもいく覚悟で病院を探し、最終的には都内を離れて循環器内科も消化器内科もないような田舎のお世辞にも綺麗と言えない小さい病院で働いてます。

 

 皆が急性期バリバリの大学病院や大病院で勤務する事を決めた中、自分は夜間にろくに検査も出来ない病院にいくという不安で研修医時代はとても不安でした。今でもとても不安です。先日は1人の当直で患者が呼吸苦になり、採血もレントゲンもすぐに出来ないような環境で心臓超音波でなんとかAsynergyを見つけてなんとか診断をつけたりしてます。大きな病院では検査もすぐに出来て、多くの科の先生がいて、しっかり教育を受ける事が出来ると思います。急性期に関しては既に昔の同期と大きく差をつけられている気がします。

 

 しかしながら、着々と自分のやりたかった事を出来るようになってきてます。腎臓内科は有名な病院で上の先生方も尊敬出来るような人が多く、多くの患者さんの主治医、執刀医になる事が出来て、このままだと数年後に透析になってしまうような人達になんとか今ある腎臓を大事にしてもらうために行動変容をさせようと説明する毎日を送っております。まだまだ研修医が終わったばかり毎日病棟業務で必死ですが、保健師との会合や、減塩料理教室、減塩の小さな研究、透析導入の小さな調査といったフィールドに寛容な心で見守ってくれる先生方のおかげで首を突っ込めています。

 

 

 自分は専門医制度が現行制度で継続したため専門医制度は取れてしますので、こんな事を言うのは卑怯だと思いますが、『自分のやりたい事があるなら腹括って、自分を信じて人と違う道を歩み』という事が大切なんじゃないかと振り返ってみて思うわけです。

 

 僕達が家族を養う50歳とかになった時、日本は医師過剰になっている可能性があります。皆が取る専門医制度の顔色を伺っていても、明るい未来が待ってるなんて到底思えません。僕達の世代に安定が存在しない事なんて、頭の中お花畑の人でも分かるでしょう。

 

 ちなみに私は個人的に新専門医制度は、コンセプトは素晴らしいと思っています。20年前、初期臨床研修を経験していない内科の先生より、経験した今の35歳ぐらいの内科の先生達の方が知識が幅広くて優秀だなと初期研修の時思った事が数十年後、新専門医制度を経験していない自分の身に降りかかると思うと怖いものです。決して、専門医制度自体は私は非難するつもりはありませんし、専門医なんて取らなくて良いという無責任な先輩にはなりたくありません。

 

 ただ去年、専門医制度に苛立ってた自分を振りかえって思うのは、『専門医制度に苛立っている人程、専門医制度に踊らさせてはいけない』という事です。苛立っている感情にはなんらかの理由があります。一度怒りを沈めて、しっかり自分を振り返ってみましょう。

 

 もし、専門医制度があのまま遂行されていれば、僕は間違いなく、専門医制度を理由に考える事を辞めて医局に属していたと思います。そして、今、毎日のように得られる充実感を得る事が出来ず、専門医制度に苛立ちを持ち続けていたでしょう。

 

 恐らく専門医制度は、僕達のことなんて絶対考えてないでしょう。国の事情、大人の事情があるんだと思います。そんな中だからこそ、しっかり自分を持ち、うまく付き合いながら、自分の人生をデザインしてほしいと強く思います。

 

 こんな事を偉そうに言っている自分も昨年は絶対できませんでした。見えない大きな力に自分から飲まれていったでしょう。専門医制度延期のおかげで得た充実感を毎日感じているに過ぎません。だからこそ、今悩み多き、研修医二年目の先生方の参考になればと思いブログを書かせてもらいました。生意気をお許し下さい、では失礼します。

説明書を作成しました。〜腎生検を受けられる方々へ〜

 腎臓内科医として勤務する辺り、患者様と時間をゆっくりとって診療したり、話を聞く事が出来ない事に悩んでおりました。限られた外来の時間や入院中の時間になるべく多くの情報を聞き出し患者様に還元出来ればと考えてこの度説明書と問診票を作成させて頂きました。重複する内容もあり大変恐縮ではございますが熟読及び記載の程宜しくお願い申し上げます。

 

1:腎生検を行う理由

 このページを読まれている方の中には蛋白尿が検出された方、血尿が検出された方、腎臓の機能が落ちてきた方などがいらっしゃると思います。それらの症状を治すためにはまず原因を見つけなければなりません。原因を見つける方法は採血検査、採尿検査、画像検査などがありますが、その中で腎臓の組織をとってきて顕微鏡でみて腎臓の状態を直接評価する方法があり腎生検と言います。腎臓の血管をみたり、尿の通り道をみて現状がどうなっているのかをみて診断します。採血や採尿検査と違い、腎臓『そのもの』を見るためしっかり診断できるのが売りです。

 

 しかしながら、腎生検は簡単に行えるような検査ではありません。背中に針を指して腎臓を取ってくるわけですが、仮に腎臓の血管を指してしまった場合は出血してしまいます。また菌が入れば感染してしまいます。腎臓の出血、感染をしてしまった場合、輸血や抗菌薬投与を行います。外科手術や輸血を必要とする場合は0.2%程度ですが、なってしまった時の重症度も考えて基本的には5-7日程度しっかり入院していただいております。

 診断に有用だが、危険を伴うためリスクベネフィットを検討して腎生検を行います。

 

2:腎生検の実際

http://www.mayoclinic.org/-/media/kcms/gbs/patient-consumer/images/2013/11/15/17/35/ds01047_-my00088_-my01223_im04229_mcdc7_kidney_biopsythu_jpg.ashx

http://renalmed.com/wp-content/uploads/2015/06/Kidney-Biopsy-300x250.png

 上のように患者様にうつ伏せになってもらいます。超音波で腎臓の位置を探して、息止めの練習をして針を指します。痛くないように局所麻酔をします。だいたい30-60分程かかります。

 

 その後、腎臓から出血しないように圧迫します。終わってから10分ほど医師が患者様の背中を手のひらで圧迫します。その時少し息苦しい感じがあるかもしれません。その後、仰向けになります。背中に砂嚢を入れて自分の体重で圧迫します。砂嚢は数時間で取れますが、腎生検から翌朝までずっとうつ伏せで寝て頂きます。(正直結構大変です。)

 

 お食事に関しては、寝たまま串刺しの食事とおにぎりを家族の介助の元食べて頂きます。ご家族には腎生検をする際には来ていただくように宜しくお願いします。

 

3:腎生検後

 

 腎生検翌日から普通に生活されて大丈夫です。ただし腰をひねったり激しい運動は控えて頂きます。翌日に採血で大量出血してないかを確認させて頂きます。3-4日経過をみて退院します。結果は1週間後に出ます。2週間後辺りで外来を受診していただき、その際に結果説明と今後の方針を決めていく事になります。

 

 

CKD患者にSGLT-2阻害薬は使ってよいのか?

EMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析でSGLT-2阻害薬に腎保護作用があるという報告が出てから腎臓内科医にとって

 

「SGLT-2阻害薬がeGFRがどのくらい低下するまで使えるか」

 

というのはとても気になるところである。という事でSGLT-2阻害薬について自分なりにまとめてみました。

 

1:なぜ効果があるのか 2:どのくらい効果があるのか 3:どのSGLT-2阻害薬が良いのか 4:eGFRどこまで使ってよいのか。(建前) 5:eGFRどこまで使ってよいのか。(実際)

 1:なぜ効果があるのか(生理学的)

 ざっくり言うと、糖-Na再吸収を抑える→遠位尿細管に届くNaが増える。→マクラデンサが尿中Naと勘違いする→糸球体のFeedback下がる→輸入細動脈に流れる血流下がる→糸球体内圧が下がる。

 

『Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes』http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504720#t=article

dm-rg.net

 2:どのくらい効果があるのか

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『EMPA-REG OUTCOME: The Nephrologist's Point of View』http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002934317304606

RAS系を飲んでる人が7-8割いるのも関わらずしっかりと結果を残している。しかし新規尿中Albの出現抑制は認めず。機序からも糖尿病性腎症初期の過剰濾過のときに使うのが使い時なのであろう。

 3:どのSGLT-2阻害薬が良いのか

 今月のカナグロフロジンの臨床研究の報告次第ではあるが、今のところジャディアンスの一人勝ちのイメージ。シンプルに

 ジャディアンス 10mgもしくは25mgと覚える。

 4:eGFRどこまで使ってよいのか。(建前)

 

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『EMPA-REG OUTCOME: The Nephrologist's Point of View』http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002934317304606

 Simple is best→赤い所だけ覚える。ガイドライン、添付文章的にはeGFR<45は基本使わない。

 5:eGFRどこまで使ってよいのか。(実際)

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『EMPA-REG OUTCOME: The Nephrologist's Point of View』http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002934317304606

 eGFR30-45に関しては症例によっては効果がある。しかしeGFR30以下には効果がない。

 

 後、これはスーグラの話ではあるが、下記のような記事あり。 

www.carenet.com

 

 高齢、痩せ、腎機能低下では使わない方が無難。30人に1人の低血糖が生じる可能性あり。結構多いかも。

 

 

<まとめ>

・SGLT-2阻害薬は糖尿病性腎症の進行抑制にはなりそう。eGFRが保たれている人は積極的に使いたい。今後もっと市民権を得ていくと思われる。

・副作用は尿路感染、低血糖などが報告されているが数字を見た限りそこまで気にしなくて良い。

・eGFR30-45に関しては、症例を見て検討。それ以下は現段階では使わない。RASが腎機能が悪くなってもギリギリまで使用されるようになったみたいに、今後使用される適応は増えていくのではないだろうか。

 

 

『日本において医師の業務プロセスの効率化・自動化が決定的に遅れている』  

 先日まで腎臓内科、膠原病、糖尿病をローテートしておりました。将来、腎臓内科になることもあり結構な気合を入れて臨んだローテートだった訳で、多くの勉強ができた充実感と共に反省が多い1か月でした。

 

 上級医の後を追ってカルテを書くだけの1か月には絶対したくないと思ったので、最初の頃は5時には出勤して先回りをして上級医が来たときにはカルテだけでなく、ある程度の問題点の解決を根拠をもって説明できるようにしてやろうと思って望んだ矢先に様々な困難が押し寄せました。

 

 それは圧倒的な時間不足でした。

 

 冬ということもあり担当患者の数が多く30人程度になることもありました。仮に医師が12時間勤務すると、30人担当患者を持つと回診、処方出し、指示出し、カルテ記載、入院退院サマリ全てを含めた仕事を1人辺り20分で済ませなければなりません。そこにカンファレンスがあり、看護師、薬剤師からの電話が入ったり、当直があったり、急変したりします。いうまでもなく12時間で業務は終わらず、参考書を読んだり文献を読んだりする時間は全然取れませんでした。そこにすごくストレスを感じ始め3週目あたりからドンドン悪循環に陥ってしまいました。上級医になると、外来が入り、外科医だと手術も入り込みます。

 

 悪循環で結構な人に迷惑をかけ結構反省があった1か月だったのですが、敢えて自分のキャパの少なさを棚に上げることができるのであれば、

 

もっともっと業務の効率化・自動化が進んでほしいと強く願いました。

 

看護師、薬剤師などの電話は緊急性が無ければ、LINEのメッセージ機能を使用して行えると大分効率化されます。電話は一旦乗りかけた仕事のペースを一気に遮断します。患者Aのことをしている最中に患者Bのことを電話されるとカルテを切り替えて対応するのに数分はかかってしまいます。正直、PHSiphoneにして医師、看護師、薬剤師すべてに持たせたらどんなに楽にコミュニケーションとれると思うと希望を感じてしまいます。

 

www.keyman.or.jp

 

紹介状などもすごく時間を食います。先月研修に行ったアメリカのオハイオの病院では診療所と中核病院がカルテを連動していたため、診療所の検査結果をみることができます。それに対して、日本では診療所に電話をして、検査データーをFAXで送ってもらい、スキャンした上で、その文をいちいち手書きで打ち直して、入院サマリを書いています。

 

参考:

www.recruit-dc.co.jp

 

電子カルテに関してもまだまだ改善することがいっぱいあります。私たちのような若い世代はまだしも、年配の先生は右手と左手の人差し指だけで一生懸命電子カルテを記載しています。そんなところにAmi Voice Clinicのような音声でカルテ記載するソフトが導入されればどんなに楽なんだろうかを思ってしまいます。Ami Voiceに個人契約できないか現在問い合わせしております。

 

www.youtube.com

 

病院経営において、人件費は55%程度かかるといわれています。人件費削減のためにITの力を駆使すれば現場の医療関係者のみならず病院経営者にも良い影響を与えます。病院現場の需要とITエンジニアの交流会を開いて新しいアイデアが生まれるとよいと思います。

 

semba.keizai.biz

 

昔日本の医療現場を視察にきたアメリカの調査団が、疲弊する医師と看護師をみて、『日本の医療は医療者の犠牲的献身性で成り立っている』という風にコメントをしたという話があるように(実話??)、医療現場の雰囲気や根性論に流されず、頼れるものには頼って、本当に大事なことに時間を使えるようになる事を心から望んでいます。自分にできることは微々たるものですが、私自身がこれをほしいと思い、日本の病院現場のこれからに必要だと思った仕組みを作っている会社に投資することにします。

人工知能で医者はいらなくなるのか その2 〜人工知能で医者はもっと必要になる〜

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前回は人工知能の現状について、技術的にどんな事が可能で、どんなサービスが世の中に存在しているかという点について触れました。

 

korokorokoro196.hatenablog.com

 

 

ディープラーニングという技術革新により、人工知能の性能が急上昇して特定の分野では人間よりも能力を発揮できる段階にまで来ている事にも言及しました。医療現場でいうとゲノム解析やCTやMRI読影の領域では人間をすでに越えてようとしています。

 

しかしながら、人工知能はポテンシャルは秘めているものの、まだまだ未熟であり誰かが正しく教育しないと世間にインパクトを与えるようなツールにはならない事にも言及しました。

 

それを踏まえて、本題の『人工知能で医者はいらなくなるのか』という点について触れたいと思います。

 

結論から言うと医者の仕事は人工知能のおかげで増えていくと思います。

 

 

 

1:『知識の非対称性』の崩壊で医者がもっと必要になる。

 

医者は『知識の非対称性』でご飯を食べてます。『知識の非対称性』とは皆が知らない事を特定の人が知っている状況の事で、知っている人が知らない人へ情報を提供する事で対価を得る事が出来ます。医者はその典型例で、医学知識や経験を元に患者に必要な情報を提供します。

 

昔は医学知識は医療職のみが持っていましたが、インターネットがある現在、誰もが世界中の情報にアクセスできて自分の病気について調べる事ができます。『知識の非対称性の崩壊』により、テレビのコメンテーター達が医者の仕事はなくなると予言していました。しかし医療現場では逆の事が起きています。

 

 

何が起きているかというとインターネットを通じて、得た知識を元に、情報の真偽や今後どう暮らすべきか、何か良い方法はないかなど、様々な疑問を持って医療現場になだれ込んできてます。今まではアクセス出来なかった情報に世間の人が触れる事で、需要が喚起されている訳です。

 

 

こういう場合、多くの患者は医者から話を聞いて、『納得感』を得るために来院します。現段階では『納得感』を提供できるのはネットの話でも人工知能の話でもなく医者の話だと私は確信してます。

 

 

医療現場での『ネットや人工知能の話』と『医者の話』に対する納得感の違いは、寿司でいう『人工知能で完全に理論武装されたスシローの自信作』と『銀座のこの道60年の職人の自信作』に対する納得感の違いのようなものだと考えています。(少し乱暴でしょうか・・・?)

 

 

このような変化で、コンビニ受診が増えたという意見もありますが、私はpositiveに考えてます。

 

 

昔はいざという時に『先生にお任せします』と全て他人に委ねなくてならなかった自分の死や健康を自分自身でデザイン出来るになりました。医学が医者だけではなく皆の物になった訳です。

 

 

人工知能によって、もっともっと医学が世間にインフラ化されていく事が予想されます。ネットと違い、人工知能は『個別性』や『核心的な部分への追求』も提供できるため一見医者の仕事はなくなると思われがちですが、世間の医学に対する需要の幅はドンドン広がり、疑問も多様化していくでしょう。そんな時に医者は人間として、医学知識に加えて、過去に経験した症例や、自分自身の人生とか人間性を元に機械には出来ない価値を患者に提供していけば良いのです。

 

 

 

2:インターネットも人工知能も結局『責任』がとれない

 

『インターネットを見たら病院にいくように書いてあった。』

体調としてはそこまで問題が無いと本人も思っているにも関わらず、インターネットを見て受診を決めた患者さんが増えています。特に小児科領域ではその傾向が強く、(正しいデーターが見つからなかったため数字で示せませんが)少子化にも関わらず小児の時間外診療は増えているそうです。核家族化による社会的サポートの不足が主な原因と考えられていますが、一端としてインターネットによる影響が考えられているそうです。

 

 

実際調べてみたのですが、腹痛、頭痛などで検索するとほとんどのサイトには結局『すぐに医療機関に行くように』と書かれています。これをテレビのコメンテーターは『インターネットが不安を煽って不必要な救急受診を増やしている』と言っていましたが、私からするとやむおえない事だと思います。

 

 

どういう事かというと仮にそのページを年間で10000人みるとした場合、記載されている情報が0.01%外れるとすると年間に1人の健康や命に『責任』を負わなければなりません。0.01%の可能性まで潰そうとすると『〜の可能性もある』『〜の危険性もある』という文脈になってしまいます。最終的に『医療機関を受診してください』と言わざるおえません。『大丈夫です、自宅で経過をみましょう』なんて言える訳が無いのです。

 

それに対して、医者の場合『どんな名医でも14%は誤診する』と言われています。私自身、救急外来をやっていてヒヤヒヤした事なんていくらでもあります。救急外来の場合問診する時間も限られており、出来る検査も限られているので診断がつかない事なんて沢山あります。基本的にはclose follow up(緊密な経過観察)をして次の日の朝になりかかりつけや主治医になっている医師が勤務を始めるまでしっかり『責任』を取り何かあれば再び救急外来に来てもらう事になります。

 

 

結局、人の死や健康に『責任が取れる』のは現段階で『医者』しかいません。インターネットもそして人工知能も所詮『責任が取れない』のです。『責任が取れない』情報は医学の場合、不安を煽るものになりがちです。どんなに医学的に優れている情報も無責任である以上、情報を得た患者の納得感は得られないままです。結局最後は『医者』が必要になるでしょう。

 

 

3:良い医者の姿が変わる

 

今まで話をまとめると人工知能がどれだけ優れていても、結局医者が必要という話をしてきました。しかしながら結局人工知能の力なんて大した事がないのかと聞かれればそれは大間違いです。画像認識能力では2015年の地点で人間を越えており、診断能力も後数年で人間を越えていくと言われています。私達が一生懸命鑑別をあげたり、救急外来で本を見ながら調べたり、専門医に聞いたりすることが馬鹿馬鹿しくなるぐらい人工知能は一瞬でミスなく答えを導きます。

 

 

知っている事自体に価値が無くなるため、

医学知識だけで勝負する医者は今後要らなくなるかもしれません。

 

 

ではどんな医者が必要なのでしょうか。

 

Diamond Harvard Business Review 〜機械といかに向き合うか〜は、AIと人間の棲み分けについて言及しています。

 

https://www.amazon.co.jp/人工知能―――機械といかに向き合うか-Harvard-Business-Review-DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部/dp/447810090X

 

 

人工知能の出来ない事として8つ触れています。

1意思がない

2人間のように知覚できない

3事例が少ないと対応できない

4問いを生み出せない

5枠組みを作れない

6ヒラメキがない

7常識的な判断が出来ない

8人を動かす力、リーダーシップがない

 

 

詳細は本を読んでいただければ良いと思います。そして医療現場でどんな医者が必要になるかは読者の皆様自身で考えていただければと思います。

 

私自身はまだ研修医ですが、人間性、創造力、柔軟性が必要な気がしています。来年から主治医になれる病院に勤務するためまた考え方が変わっていくのでしょう。

 

 

 

4:人工知能は医者の敵なのか

 

私は人工知能について、つい最近興味を持ち、今となって本を読んだり話を聞いてこうやってブログに書いている訳ですが、最初は人工知能なんて無くなればいいのにと思っていました。特に診断学が好きで、難解な病態を解釈していき原因を明らかにしていくプロセスが楽しくて仕方なかった訳です。多くの医者が自分にしかできない事をして、患者さんと家族に感謝される事に多くの快感を覚えています。人工知能誕生によってそういう部分を自分でなくても成し得てしまう事に『寂しさ』を感じてしまう医者は少なくないと思います。少なくとも私はそうでした。

 

そんな時に、前述したDiamond Harvard Business Reviewに良い言葉が載っていました。

 

”従来のように『現在人がしている仕事のうち、近い将来に機械で早く安くできるようになるものは何か』と問うのではなく

『もっと優れた思考機械が人間をサポートするようになったら、人間はどんな偉業を成し遂げられるのだろうか』という問い立ててみてはどうだろうか。”

 

 

 

有史以来最大の少子高齢化社会を迎えた21世紀日本における問題山積みの医療現場での人工知能の活躍に期待しております。

 

私自身、来年から腎臓内科になり、腎不全重症化予防、緩和ケアをやっていきたいと考えており、人工知能で出来る所は人工知能に任せて、私は人間として人間らしく医療をしていく将来にワクワクしております。

 

人工知能は医者の敵なのか?』と聞かれれば私はこう答えます。 

➡︎『人工知能は可能性だ。』

 

二部作になりましたが、お読みいただいてありがとうございました。

人工知能で医者はいらなくなるのか その1 〜5分で分かる人工知能の現状〜

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最近医療現場でも「人工知能で医者はいらなくなる」という諸説が耳に入るようになってきました。結論としては個人的には人工知能のおかげで医者の仕事(特に内科医)はどんどん増えると考えておりますが、その話は置いといて人工知能が現状でどのような能力がありどう医療現場で使用されるかについて調べてみました。

 

前置きとして私は専門家でもなくただの医者であり、非専門家での調査であるため知識の整合性に関して粗い部分があると思いますが、非専門家だから書ける読みやすさでこの記事を書きます。

 

まず、人工知能が急激に進歩したのはここ10年の話と考えられています。そして世間で騒がれ始めたのが、2011年にIBMのWatsonという人工知能がクイズ番組で歴代王者をコテンパンにしたところから始まります。

 

 

人工知能の力を急激に進歩させたのが、ディープラーニングという技術です。詳しくは本を読んでいただけるといいと思うのですが、粗い例えで説明したいと思います。

 

いきなりですが私は天然パーマです。天然パーマーにも色々あります。おしゃれパーマのような天然パーマもあればモジャモジャで汚らしい天然パーマもあります。

従来の人工知能では一つ一つの天然パーマを読み込ませて天然パーマである事を教えなくちゃなりませんでした。この場合人工知能に教えていないような天然パーマ、例えばもじゃもじゃなのにおしゃれな天然パーマ、ひたすら右にまがる天然パーマを天然パーマと認識できませんでした。

 

しかしディープラーニングを使用すれば、おしゃれ度100の天然パーマからおしゃれ度10の天然パーマ、モジャモジャ度100の天然パーマからモジャモジャ度10の天然パーマをとりあえずひたすら無数に読み込ませる事でその特徴を勝手に抽出して規則性を見出して「なんとなく髪がくねくねしてるのが天然パーマなんだな」という事を勝手に見出せるようになりました。

 

人工知能が与えられない情報に対して過去の経験や規則性から推測していく事が可能になった」というのがディープラーニングのすごい所で人工知能の躍進につながる結果となりました。

 

 

その技術が現在、放射線領域で使用されようとしています。2015年にIBMはMergeという300億ほどのレントゲン、CT、MRIの画像解析をしてきた会社を買収しました。

jp.techcrunch.com

 

先ほどの天然パーマのように、人工知能に消化器系の急性疾患である虫垂炎イレウスの画像を大量に読み込ませて異常のあるCT画像をイレウスと認識して私達医師に教えてくれるようになります。

 

まだ開発段階ではありますが、日本では心臓MRI人工知能を搭載したサービスをメディアマートが提供する段階にチャレンジしています。

Watsonを活用したハッカソン、最優秀賞はメディアマートの「心臓MRI自動診断支援サービス」 - クラウド Watch

 

ちなみに画像認識では2015年に人工知能が初めて人間よりも精度が高い事が証明されました。これからどんどん画像認識に人工知能が参入する事は恐らく間違いないと思われています。

 

画像診断に限らず、他の領域でも人工知能が参入しております。2016/6にはアメリカの糖尿病学会が人工知能を使って、糖尿病患者のリスクを評価して健康を促進していく事を表明しました。糖尿病患者の行動パターンやリスクのデーターを大量に集めて人工知能を使って重症化予防に取り組んでいくようです。

 

 

さて、今まで良い事ばかり書いてきましたが、壁も多くあります。先ほど申し上げましたが、人工知能は人間の成長と似たようなプロセスで成長していきます。人間でいう「両親の下で育ち、保育園に行き、小学校に行き、中学校に行く」というようなプロセスで人工知能を育てていかなくてはなりません。保育園に行く前の子供に大量の医学論文を読ませても永遠に理解できないのと同様に、人工知能にもある程度の教育機関が必要です。いくらディープラーニングが優れているとはいえ、人間の医学の世界で例えると医療の言葉がある程度分かるようになる国家試験後の医学生ぐらいになるまでは地道なつまらない暗記が必要です。その段階を超えると人工知能は一度覚えた事を二度忘れない1日何十冊の参考書と何百本の論文を読む無敵なスーパードクターに変貌します。

 

 

まず、言葉(日本で使うなら日本語)を覚えさせて、医学用語を覚えさせて、統計なら統計特有のルールも教えなくてはなりません。まだまだ人工知能の現状は「赤ちゃん」のような状態なのです。

 

 

2016年に白血病の治療を人工知能で行った例が東大で報告されました。

 

yomidr.yomiuri.co.jp

 

 

これは遺伝子解析に特化した人工知能を使用した一例になるわけですが、この人工知能はある種、遺伝子に関する情報にのみ対応できる人工知能なのだと思います。遺伝子に関して私は詳しくありませんが、この領域は「揺らぎ」が少ない領域なのではないかと考えております。

 

この「揺らぎ」というのは、例えば、「頭がいたい」というが日本語で「頭痛」という意味であったり「悩む」という意味であったりすると同時に、また「頭いてぃー」という若者言葉でも表現できたりする側面の事だと思われます。

 

 

人工知能が本気で医者の仕事の代わりに対応するためにこの「揺らぎ」を大量に暴露する必要があります。そしてその暴露の前に誰かが教育しなくてはいけません。

 

3歳ぐらいの子供は花を指さして「これなーに?」という疑問を親にぶつける訳ですが、人工知能はその疑問を持つ事も質問をする事もできないため、一つ一つ初期段階では誰かが教育しなくてはなりません。

 

(そう思うとディープラーニングの次の革命的な技術は「好奇心」や「質問力」なのかもしれません)
 
 やはり人工知能が医者の代わりになるのはだいぶ先にはなりそうです。(違う記事で詳しく医者の仕事と人工知能の役割について触れたいと思います。)
 
 
 
さて、Antaaというベンチャー企業IBM人工知能がWatsonを使った医師の診療サポートサービスを今後展開するようです。

 

 

Antaaは現在、スマートフォンアプリを使って、そこに登録された医師達のコミュニケーションの場を提供しております。(試験段階です。)臨床の現場で困った事を気軽に投げかけると、登録している医師の誰かが答えてくれる場で、例えば「鎖骨骨折は入院適応ですか」という質問を内科の医師が投げかけると、整形外科の医師が「入院する適応は・・・。」という風に教えてくれます。

 

専門家にとっては当たり前の事が、非専門家にとって難しい事が多々ある医療現場においてこのような気軽に聞けるプラットフォームがあまりなかったため私も愛用してます。

 

ちなみにアドバイスに対してそれを目の患者に患者に還元するかは自己判断です。あくまでインターネットや論文の情報を参考に私達が判断していくのと同じです。

 

このプラットフォームを人工知能watsonは上から覗いています。医師と医師の間で行われるコミュニーケーションを元に、パターンや規則性を見出して、頻回にされる質問に関しては即座に答えてくれるようになります。先ほどの鎖骨骨折の質問を他の誰かがした時は即座にWatsonが答えてくれます。

 

 

上手くいけば医師達の質問とともにAntaaのWatsonが育っていき、いずれはあらゆる質問に即座に答えてくれるようになります。イメージは物凄い天才医師の力を借りながら現場の生身の医師が判断していくような診療スタイルになっていくと思われます。

 

 

まだ赤ちゃんのWatsonを医師達のプラットフォームを通じて育てていくイメージです。私はこのサービスが浸透すれば、間違いなく医者の診療スタイルは変わると思います。

 

 

しかし、それでも私は冒頭でも医者の仕事が人工知能に代えられるような事は当分無いと思います。むしろ増えるぐらいだと考えています。その事については次回の記事で触れたいと思います。

 

korokorokoro196.hatenablog.com