千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

医者はお金じゃないありませんっていう現実逃避

今年4月より給料は5万減額されます。

 
 
入社して1日目にいきなり募集要項の給料から5万円の減額を言い渡された。お金の事ごときでケチケチするのはなんか嫌と思うと同時に社会人1年目の5万円はかなり大きいという気持ちもある。更に無断で勝手に減額されて少し残念な気持ちもある。
 
 
 
取り敢えず、幸いにも医師は5年経ったら5万なんて大した事ないと思える職業ではあるし、まだ1年目でこんなに迷惑かけて給料もらえるならまだいいかなとか思うことにしてやり過ごすことにしていた。
 
 
 
このまえ、飲み会があってたまたま少し偉めの先生が隣にいて、話がかなり盛り上がり、仲良くもさせてもらい、お互い酔っ払ってきたこともあり少し、給料減額に関してどう思っているか聞いてみた。
 
 
すると、こんな答えが返ってきた。
 
 
『医者はお金なんかじゃないんだよ。じゃお前患者さんが時間外に急変したらお金もらってないから対処しませんっていうのか本当に。』
 
 
その途端、近くにいた看護師さんと病院の先生方が拍手をし始めた。
 
そして『お金の話に執着する研修医なんてどうかと思うよ』と色んな方面からお叱りをいただく事になり非常に戸惑った。
 
 
僕はいきなりの切り返しに驚き、ずっと黙って聞いている事にした。
 
 
 
 
 
 
医療者が『お金』に対して意見する事に対するタブー視する力は本当に凄まじい。
 
研修医は取り敢えず置いといて看護師さんのサービス残業の量はありえない。
 
勿論時間外は出ない。
 
 
この前、看護師さんのPCを使ってみたら電子カルテの起動まで5分。患者さんの画面切り替えに1分。すぐフリーズ。
 
 
非常に能率が悪い。しかしPCの買い替えは絶対に行われない。何故なら効率悪い分の人件費は支払われない。看護師さんのサービス残業へ。
 
 
効率化する設備投資のお金は人件費を上回る。
 
 
 
では、経営陣が悪いかというとそういう訳でもない。
病院経営において、支出の半分以上は人件費で飛ぶ。医療職が現状で売り手市場であり、病院毎の入れ替わりが激しい事よりある程度の給料を提示しないと人が集まらないからだ。医療費削減により緊縮化が進み病院自体に黒字を出す事が非常に困難になっている。
 
職員にサービス残業を強要しても尚、黒字を出す事が出来ないのが病院経営の現状だと思う。
 
 
 
 
お金じゃないと言って職員が叱咤する当人が一番お金に苦しんでいる。
 
 
 
 
 
話は変わるが、大学の時読んだ『失敗の本質』っていう本がある。第二次世界大戦で必ず負けると分かっていた戦いを選んだ日本人を振り返り、現在の衰退する日本企業と比較して、結局昔から根本で変わっていない日本人の失敗の本質を指摘した本である。
 
 

 

この本でも触れているのが、構造上不利である状況下に陥った時、過去の成功例と精神論を持ち出して現状把握を辞めてしまい気づいた時には壊滅的になっている事が多い。日本軍のミッドウエー海戦やSHARPのテレビ事業などを例に挙げている。

 

 

 

そう思うと、『医療者は金じゃない!』とかいうのって似ているなって思ってしまう。

 

 

どう考えても、医療費の削減は続き、医療を必要とする人は増え、緊縮、圧迫財政は進むはず。昔は経済成長でお金があり余っていて、お金の話を気にせず医療ができた。

 

 

 

しかし、今は違うと思う。

 

 

お金の事を真剣に今までの何十倍も考えなくちゃいけない。

 

 

お金と真剣に向き合わないから、現場の医療者が疲弊してしまい、

 

 

お金と真剣に向き合わないから、経営と現場の信頼が崩れる。

 

 

お金なんて本当はどうでもいい要素のはずだからこそ真剣に考え、そんなくだない事で本当に大切なモチベーションとか使命感に陰りを出してしまうのって凄く残念だと思う。

 

 

お金と真剣に向き合う事で、真剣に施設内の効率化を徹底させ、よりスタッフが心地よく患者さんに接する事が出来るようになるのではないかって思う。

 

 

 

中には、俺はお金なんてもらえなくて働くぜっていう熱血な人もいると思う。いや、現状からして医療者のほとんどはある程度お金をもらえなくても頑張りますっていう人で溢れかえっている。

 

 

だからこそ、テクノロジーとか効率化とか経営のプロが必要なんだと思う。

 

 

 

こう思うと昔からなんども思っていたけど、今後やっぱり病院経営に行きたいんだと思うな。

 

私の場合はそこに問題意識が強い。

 

 

 

 

 

広告を非表示にする