千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

初心者でも15分で分かる放射線と被曝の話 〜研修医と被曝について考えましょう①〜

実際、放射線ってどうなの?

 

 

私が研修医になり、よく友人からされるようになった質問です。

 

 

実際のところ、医学生が国家試験が終わるまで放射線を学ぶ事なんてほとんどありません。

 

 

私の研修病院の同期でも、いや放射線科を除くほとんどの医師が放射線について綺麗に説明できないのが現状です。正直言うと、私はこのblogを書くまでシーベルトが何なのかも知りませんでした。

 

 

しかし、医者である私はそれなりの答えを期待されてしまい、結果その場をやり過ごす事に必死になります。少しばかりそれっぽい事を言って結局

 

 

『大丈夫、大丈夫!笑 気にする方が健康に悪いって!』

 

 

と流してしまいます。おそらく医者の方なら覚えがある出来事だと思います。

 

しかしそれを聞いた友人は『医者がこう言ってた』と、その友人に言い、どんどん適当な情報が人伝いに広まっていきます。

 

現在、日本では放射線についての色んな情報が錯綜していると思います。何が大丈夫なのか、何が危険なのかがよく分からないまま話が広がり、結局放射線が人体にどう影響するのか、そして原発事故は果たして本当に大丈夫なのかがよく分からないままになっていると思います。

 

 

放射線関連の発信はライティング関連の世界でタブー視されています。炎上の対象にされやすいからです。そのため『専門的過ぎて読んでいて隙が無い、がしかし読みにくい文章』か『読みやすいけど言っている事がめちゃめちゃな科学的根拠のない感情論』がWeb上で錯綜していると思います。

 

 

そこで私は専門家でないけどある程度は医学について理解している研修医という立場で研修医なりにしっかり勉強して『とっつきやすく読みやすいが科学的根拠のある放射線についてのコンテンツ』を作ろうと思い、放射線についての記事を書こうと思いました。

 

 

今回はまず話をする上で少し知識をつけるための内容について触れます。では行きましょう。

 

 

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『初心者でも15分で分かる放射線の事』

 

 

 

ぷろとにうむ、、、、しーべると、、、、べくれる、、、、$%$&’’$#’$(%)&0’*`*『『*=、、、、うわー!!!

 

 

 

いつも放射線の事を勉強すると専門用語だらけで投げ出したくなります。実際私も何度も投げ出しました。ある程度分かるようになるまでに開いた現実逃避のLINEとTwitterの回数は計り知れません。

 

しかし勉強して振り返ると実はそこまで複雑では無い事がわかります。

 

まず最初に覚えた方が良いのは『mSv』。ちなみにミリシーベルトと呼びます。

 

 

これは放射線の攻撃力を示す単位だと思っていただければ良いです。(ちなみに放射線自体の攻撃力はGyだが、ややこしくなるので省略)

 

 

まず、この単位のイメージが出来る事が本当に大事なステップと私は思います。

 

料理をする時に砂糖5gを加えるとどういう味付けの変化が想像できない人が料理を上手く作れないのと同じと思って下さい。

 

 

 

まず一つの事実として、一度に浴びた放射線の威力は以下のようなものです。

 

100mSv浴びる→人体に影響

1000mSvを浴びる→症状が出現

4000mSvを浴びる→半分の人が死ぬ

 

ちなみに福島で避難区域になっているのは年間20mSv。

ちなみにイランのラムサールでは年間200mSvの被曝があると言われています。

 

CTを一回撮れば6.9mSv被曝します。

飛行機に乗ると0.19mSv(NYと東京を往復した場合)被曝します。

レントゲンをとると0.06mSv被曝します。

 

 

ここで大きな目安は100mSv。

 

大事すぎるので大きく書いておきましょう。

100mSv。

100mSv以上での癌のリスクの上昇は科学的に証明されています。

(100mSvで0.5%、200mSvで1.0%の癌のリスクの上昇あり)

 

100mSv以下について、長崎、広島、チェルノブイリの被爆者での研究では癌のリスクの上昇を認めておりません。

 

 

しかし、『データーが存在しない事』=『科学的根拠がない事』ではありません。

医療の世界で異常が『ない』事を証明するためには消去法が使用されます。そのため膨大なプロセスが必要であり、現段階で100mSv以下で人体に影響がない事を科学的に証明するための情報量は存在しません。

 

国際的な結論は、100mSvの健康被害は『現段階で証明はできないが、前例はない』という事になっています。(ちなみにマウスでの実験ではある程度証明されているが人間に適応するのは少し無理があるようです。)

 

 

 

あとはGyとかベクレルとかそういう単位を聞いた事があると思います。しかし、これらも多くはmSvの変換できます。物理学者とか専門家とか医療者にとっては必要な知識かもしれません。しかし私を含めた素人はとりあえずmSvぐらいをしっかり理解してイメージできれば良いと思います。

 

 

 

次に大切な情報は放射性物質についてです。よく聞くのはストロンチウム、プロトニウム、セシウムヨウ素の4つだと思います。理論を話せば長くなるので、ざっくりいくと大切なのはセシウムヨウ素の二つです。

 

ストロンチウムプルトニウムに関してはセシウムと比較して内部被曝による健康被害への影響はかなり低いとされています。(端的に申し上げると1ベクレル辺りのmSvの値が小さい+拡散能力が低いという訳ですが、難しいのでスルーしましょう。)

 

 

 

まずはヨウ素です。ヨウ素で問題となるのは甲状腺癌です。チェルノブイリ原発事故の後に小児の甲状腺癌の患者数が増えました。この事実は国際的な正式な機関が正式な形で発表しています。なのでヨウ素健康被害は存在して、今後原発事故が起きた際には対策を全力で行なう必要があります。更にヨウ素は揮発性であり空気に乗ってばら撒かれるため被害が拡大する傾向にあります。

 

 

ただし知られていない事実としてヨウ素半減期放射線物質が自然に半分に消失するために必要な期間)はたった8日であるということです。過去の原発事故の際も大量のヨウ素がばら撒かれました。しかし、8日で半分に16日で4分の1に、1ヶ月後には16分の1。そして4年以上経った現在では皆無になっていると思われます。つまり大切なことはヨウ素に対しての対応の重要性は『急性期』に存在するという事です。

 

 

次にセシウムです。チェルノブイリでも福島の事故でも主に検出されたのはヨウ素セシウムです。福島の事故では現地入りした科学者により検査が行われ、子供を中心に数百ベクレルから数万ベクレルセシウムを検出しております。ちなみにセシウム(137の方)においては1ベクレル=0.000013mSv。つまり今回の研究で検出されたセシウムによる被曝は仮に10000ベクレルの蓄積が認められた人で0.13mSvです。NYと東京を飛行機で往復した時の被曝量と同じになります。勿論現段階で健康被害は想定できません。セシウム半減期は30年程度。そもそも私が普段から食べる野菜からK40という放射線物質を摂取しており年間0.2程度mSv内部被曝しております。現段階のデーターではセシウムに関して心配する事は、被曝が怖くて飛行機にのらず、野菜も食べないに等しい事になります。

 

 

 

ちなみに私たちは普通に生活しているだけで被曝します。次にこの事に触れます。

 

私達は太陽の光を浴びています。太陽の光には放射性物質が含まれており、直接被曝したり、植物や動物を介して内部被曝したりします。自然界にもともと存在する被曝量を自然被曝といい、その量は日本では年間1.5mSv程度とされています。ちなみに地域によって差がありイランのある地域では年間50mSv、100mSvを超える地域も存在します。

 

 

 

自然被曝以外の被曝で私達が思いつくのは、医療被曝です。日本は世界一の医療被曝大国です。年間の医療被曝は平均4mSv程度とされています。ちなみに先に申し上げておくと、日本人の3分の1から2分の1が癌で死ぬのは、医療被曝のせいだと結論づける学者がいましたが、それは大嘘で(一因である可能性は存在はするがほぼゼロという意味)日本人が癌で死ぬようになった理由は人が長く生きるようになったからです。

 

 

加齢と共にTNF:tumor necrosis factorの量が減少します。tumorとは腫瘍、癌の事であり、necrosisとは壊れる事。TNFはがん細胞を壊す因子であり、その数が減る事は癌になるリスクが上昇する事を意味します。正式な情報は未だ出されていないが(発見できませんでした・・・)60歳を機にTNFが減っていくようです。

 

 

話はずれましたが医療被曝は年間平均4mSv程度です。医療被曝を受けるのは高齢者がメインです。例えば100歳の方が100mSv以上の被曝でガンになるのに20年かかると言われており、余命との兼ね合いで高齢者の被曝のリスクと病気の早期発見が遅れるリスクを天秤にかけて、医療被曝を受けてでも検査をする必要があると考えて試行されています。

 

 

私たちにはその他に法律で被曝限度を定められています。年間1mSvです。この限度には医療被曝と自然被曝は含まれていません。

 

この事から私達は自然被曝1.5mSv+医療被曝4mSv+法的被曝限度1mSvでだいたい年間6.5mSvの被曝をこの日本で一般的に生活しているだけでします。

 

⬛︎

 

 

よくインターネットで被曝について不安を掻き立てるような記事を見ます。実はこの類の記事に書かれている被曝量に関しては意外と正確だったりします。

 

 

例えば都内、原子力で検索したところ、かなり高い順位の記事に『都内で0.22μSv検出!!』みたいな記事がありました。確かに原発事故によって多少の検出量の増加は予想されますが、0.22μSv=0.00022mSvであり、気にするのは個人の判断に委ねるべきですが、それがどの程度の被曝に相当するかは今回の記事をしっかり理解した人ならご理解頂けるでしょう。

 

 

放射線の事が分からない理由として、

①単位がイメージできない事

放射線物質が理解できない事

③平時の被曝について知らない事

 

以上3点が挙げられます。この事について今回言及してみました。次はチェルノブイリをケースに挙げて考えてみようと思います。

 

 

korokorokoro196.hatenablog.com

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