千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

専門医制度に振り回される初期研修医二年目の先生方へ

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専門医制度、特に内科の専門医制度が揺れています。実際、昨年研修二年目だった自分も専門医制度のゴタゴタがあり大きく振り回されました立場でした。なので、現在研修医二年目の先生達の苛立ちは本当に分かります。私自身、相当苛立っていました。私の同級生の多くも相当苛立ち、特に研修期間が長くなる内科領域を辞めるような人も一杯いました。

 

 当時、専門医制度は立派な専門医を育てるために作られた仕組みであるのに関わらず、出て来る話は『医局の覇権の復活』を匂わせる制度であったり、何のために書かなくてはいけない『大量のレポート』の話だったりして、『結局この制度は僕達の事なんて何も考えていないじゃん!』と毎日憤っていました。最終的に専門医制度は一年延期になり、現行制度で継続になりました。

 

 僕の同級生達は、専門医制度が代わる前提で物事を考えていた人が多く、多くの人が大学病院や都内のブランド病院に行きました。一方で僕は地域の誰も名前を知らないような慢性期の病院に行くことにしました。

 

 学生の時に小児救急を含めた救急医療をやりたくて都内のブランド病院を研修先に選んだ訳ですが、実際働いて、運ばれてくる患者さんたちを見て、根本的な問題点は日頃からの日頃の生活習慣にあると考え、特に問題意識の強い腎臓内科になる事にしました。

 

 当初、自分も都内の大学病院に勤務しようと思っていました。今後の専門医制度の動向を考えると医局に属したほうが無難と考えたためです。しかしながら、ある日1人で酔っ払って物思いにふけていた時に、医局に入って自分がやりたいこと、特に腎臓領域の生活習慣の改善指導や、保健師を含めた地域医療、公衆衛生的なアプローチのような事を医者3年目からすぐ取り組めるような気がせず、自分のやりたい事を先送りにするのがどうしても嫌になり、全国各地どこでもいく覚悟で病院を探し、最終的には都内を離れて循環器内科も消化器内科もないような田舎のお世辞にも綺麗と言えない小さい病院で働いてます。

 

 皆が急性期バリバリの大学病院や大病院で勤務する事を決めた中、自分は夜間にろくに検査も出来ない病院にいくという不安で研修医時代はとても不安でした。今でもとても不安です。先日は1人の当直で患者が呼吸苦になり、採血もレントゲンもすぐに出来ないような環境で心臓超音波でなんとかAsynergyを見つけてなんとか診断をつけたりしてます。大きな病院では検査もすぐに出来て、多くの科の先生がいて、しっかり教育を受ける事が出来ると思います。急性期に関しては既に昔の同期と大きく差をつけられている気がします。

 

 しかしながら、着々と自分のやりたかった事を出来るようになってきてます。腎臓内科は有名な病院で上の先生方も尊敬出来るような人が多く、多くの患者さんの主治医、執刀医になる事が出来て、このままだと数年後に透析になってしまうような人達になんとか今ある腎臓を大事にしてもらうために行動変容をさせようと説明する毎日を送っております。まだまだ研修医が終わったばかり毎日病棟業務で必死ですが、保健師との会合や、減塩料理教室、減塩の小さな研究、透析導入の小さな調査といったフィールドに寛容な心で見守ってくれる先生方のおかげで首を突っ込めています。

 

 

 自分は専門医制度が現行制度で継続したため専門医制度は取れてしますので、こんな事を言うのは卑怯だと思いますが、『自分のやりたい事があるなら腹括って、自分を信じて人と違う道を歩み』という事が大切なんじゃないかと振り返ってみて思うわけです。

 

 僕達が家族を養う50歳とかになった時、日本は医師過剰になっている可能性があります。皆が取る専門医制度の顔色を伺っていても、明るい未来が待ってるなんて到底思えません。僕達の世代に安定が存在しない事なんて、頭の中お花畑の人でも分かるでしょう。

 

 ちなみに私は個人的に新専門医制度は、コンセプトは素晴らしいと思っています。20年前、初期臨床研修を経験していない内科の先生より、経験した今の35歳ぐらいの内科の先生達の方が知識が幅広くて優秀だなと初期研修の時思った事が数十年後、新専門医制度を経験していない自分の身に降りかかると思うと怖いものです。決して、専門医制度自体は私は非難するつもりはありませんし、専門医なんて取らなくて良いという無責任な先輩にはなりたくありません。

 

 ただ去年、専門医制度に苛立ってた自分を振りかえって思うのは、『専門医制度に苛立っている人程、専門医制度に踊らさせてはいけない』という事です。苛立っている感情にはなんらかの理由があります。一度怒りを沈めて、しっかり自分を振り返ってみましょう。

 

 もし、専門医制度があのまま遂行されていれば、僕は間違いなく、専門医制度を理由に考える事を辞めて医局に属していたと思います。そして、今、毎日のように得られる充実感を得る事が出来ず、専門医制度に苛立ちを持ち続けていたでしょう。

 

 恐らく専門医制度は、僕達のことなんて絶対考えてないでしょう。国の事情、大人の事情があるんだと思います。そんな中だからこそ、しっかり自分を持ち、うまく付き合いながら、自分の人生をデザインしてほしいと強く思います。

 

 こんな事を偉そうに言っている自分も昨年は絶対できませんでした。見えない大きな力に自分から飲まれていったでしょう。専門医制度延期のおかげで得た充実感を毎日感じているに過ぎません。だからこそ、今悩み多き、研修医二年目の先生方の参考になればと思いブログを書かせてもらいました。生意気をお許し下さい、では失礼します。