千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

糖尿病で蛋白尿(アルブミン尿)が見つかった人に、腎臓内科医として絶対伝えたいたった一つの事 

ブログを移転しました。5秒後に移転先記事に移動します。

f:id:korokorokoro196:20170610194945j:plain

 腎臓内科として日頃から糖尿病で腎臓が悪くなった人を多くみます。糖尿病で腎臓内科に紹介され受診した人の多くは今後透析になっていく人が多いのが現状です。僕は『なるべく透析にならない』ような医療をしたくて腎臓内科になる事を決めた手前、目の前の患者さんだけでなく、日本に300万人もいると言われている糖尿病の患者さん、特にその中で2割ぐらいを占める、症状は無いけど、蛋白尿(アルブミン尿)が出ているような進行早期の方に是非知ってもらいたくてこのブログを書いています。

 

 

 ちなみに、僕の医者として大事にしているのは、研修医時代の恩師がよく言っていた『健康よりも自由の方が大事である!』という言葉であり、スタンスになっています。

 

 健康のためにケーキ食べたらダメ、ラーメン食べたらダメ、だめだめ・・・・、という風にやたらむやみに患者さんの意思を無視して頭ごなしにダメダメいう医者にだけなりたくないと思っています。

 

 健康でいたいけど、接待で不規則な生活をしなくちゃいけないとか、妻の料理の味付けが濃くてなかなか塩分制限が出来ないとか、ケーキ好きだから食べちゃうという、人間の性であったり、矛盾にこそ、人間らしさがあり、だからこそ医者の仕事は面白いんじゃないかとも思っています。

 

 そんな基本ゆるーいスタンスの私でも、自分の家族が糖尿病だったらしっかり薬を内服して欲しいと思います。少なくとも、糖尿病という病気については知ってもらいたいと思います。糖尿病で腎臓が悪くなった人の多くは、『知らなかった』事を後悔しているように見えます。では行きましょう。(今回は2型糖尿病の話です。)

-------------------------------------------------------------------------------------------------

 

取り敢えず、下の図を見てください。今日の肝です。 

 

f:id:korokorokoro196:20170610164659p:plain

糖尿病性腎症ならびに腎硬化症の診療水準向上と重症化防止にむけた調査・研究 研究班 編  

(上の経過はあくまで典型例であり例外もあります。)

 

『糖尿病ですけど、何か?』(青〜黄色の左半分)

この図で第一に大事になるのは、糖尿病になってから数年間何も起きないという事です。この記事を読んでいる多くの人は、健康診断とかで『あなたは糖尿病です。』って言われたけど、別に生活に困ってないし、『糖尿病ですけど、何か?』ってというスタンスの方が多いと思います。上の図でいうと青〜黄色の左半分の人ですね。

 

症状も無いし、困っていないので不規則な生活を続ける方も多く、糖尿病の薬も面倒くさいし、病院も待ち時間多いから行かないっていう方が多くいます。医者の中には糖尿病になったけど治療しない人達を『考えられない、何かあっても自己責任だからな』と言う人もいますが、飲み会大好き、朝まで飲むぞーっていうタイプの駄目駄目な情けない医者の私は、少しだけ理解出来てしまいます。

 

結果、日本の糖尿病患者さんでしっかり治療継続しているのは半分くらいと言われています。残りの半分は、症状が出るまで病院に来なくなるのが糖尿病治療における大きな問題点となっています。どんなに良い薬が出ても、結局薬を飲み続ける人が少ないのが現状

 

なんか、物が見えにくいんですけど、後痺れがあります。(黄色の右半分)

放置していた患者さんが再び病院にくるのがこの時期です。目の霞み、痺れのような症状が出てやっと治療の必要性を感じて治療を行います。上の薄いオレンジの部分の左半分くらいの段階です。この時すでに、顕性腎症と言われる段階の一歩手前の状態です。この顕性腎症と言われる段階で、黒線がいきなり急降下しているのが悪いのが分かると思います。つまり顕性腎臓の時に急激に腎臓が悪くなっていきます。健康な人の腎臓が100点とすると、多い人では毎年20点ぐらい腎臓の機能が落ちる事も多々あります。そういう人はいままで健康だったのにたった5年くらいで腎臓の機能が10点、20点になってしまいます。

 

腎臓がドンドン悪くなっていきます。(オレンジの部分)

腎臓は、体に必要なものを再吸収して、不要なものを外に出す役割があります。腎臓働きが落ちるとむくんで体がパンパンになったり、不要物が体に溜まって味覚が低下したり、食欲がなくなったり、下手すると意識が朦朧としたりします。結果、腎臓で出来ない事を『透析』で賄うしかなくなってしまいます。濃いオレンジの領域がこの段階ですね。

 

じゃあどうやって見つけるの?(オレンジの実線、点線に注目)

糖尿病はなかなか症状が出ないくせに、いざ症状が出た時には目の前に暗黒の世界が待ち受けているという点がとっても厄介だと個人的には思っています。そこで、症状が出る前に、体のSOSを発見しようと試みが行われました。そこで見つかったのが、アルブミン尿、蛋白尿です。

 

アルブミン、蛋白は身体に必要な成分なのにも関わらず、尿に出てきているという事は腎臓が悲鳴をあげているという事の照明になります。症状が出る前に体内の異常を発見する良い指標になります。

 

糖尿病って治るの?

そこで気になるのは、糖尿病による腎臓の障害は果たして治るのかという話です。端的に言うと、あまりはっきり分かっていません。ちなみに腎臓は大方、一度壊れると再生しない臓器です。そのため従来は、アルブミン尿や蛋白尿は一度出てしまうと一生出っ放しだと言われていました。しかし、近年、早期に治療を行えばある程度再生する可能性がある事が分かってきました。

 

大事な事なのでもう一度書きましょう。早期治療介入すれば、治るが可能性あります。

 

10年くらい前の研究では、正しく治療をすれば黄色左半分だった人の半分ぐらいが青色の所まで回復しました。また最近の研究では薄いオレンジの所まで行ってしまった人は厳しい中でも頑張れば半分程の人が黄色の所まで回復する事が分かっています。

 

しかしながら、濃いオレンジの所まで行ってしまった人はなかなか厳しいのが現状です。大切なのは早めにしっかり治療介入する事です。

 

最後に伝えたい事。

実は私は医者でありながら、自身あまり長生きしたいとは思っていません。健康に気をつけるばかり、楽しい事を我慢するような生活をしたくはありません。飲み会大好き、肉大好き、酒大好きな人間です。

 

しかし、とある日本の有名な作家が残した名言通り、『高齢化社会になり、死を自らがデザインする時代になった』という言葉は医者をやっていて非常に本質をついていると痛感される事がとても多いのも事実です。

 

糖尿病で蛋白尿、アルブミン尿が見つかった方々が、もし私のこの記事を読んでいただけているのであれば、少しだけでも構いませんので、今後のあなたの糖尿病との付き合い方に想いを寄せて頂けると幸いです。

 

僕は、冒頭で『健康』よりも『自由』を尊重する医者です。糖尿病を放置する事は『自由』です。その選択を私は最大限尊重します。(勿論、医療費の問題を考えると私の判断は間違っています。)

 

しかし『知らなかった』とは言ってほしくはありません。早期であれば、少し生活習慣を変えて、薬を少し飲むだけで多くはコントロールできます。今の時代、採血は近くの施設ですぐに出来、遠隔診療で病院に行かなくても薬はもらえます。薬の質はものすごく上がってます。

 

大方の糖尿病が患者さんの『意志、選択』で予後は大きく左右されるようになってきています。是非とも、私のこの記事で糖尿病との付き合い方に想いを寄せて頂けるような機会を作っていただければ私として幸いです。では失礼しました。

 

 

*二点補足

(分かりやすさのために敢えて正確な表現を崩している部分が多くあります。糖尿病を専門にしている先生方にとっては大変失礼な表現をしているかもしれませんが、必要悪と判断してそうしております。お許しください。)

 

(糖尿病の中には食事制限したり、内服を頑張っても中々コントロールできない事もあります。全ての糖尿病において悪化=怠惰の構図が成立するわけではありません。糖尿病と必死に戦っている方とっては不適切な表現が含まれているかもしれません。ご了承頂けると幸いです。)