千葉県の腎臓内科医のブログ

透析医療の現状を疑問に思い腎臓内科医になる事にしました。

今まで好き勝手に不摂生してきた人を透析導入した話

つい最近透析導入した80歳越えの患者さん(腎臓が悪くなるまで不摂生な生活をしていた)が『若い人達の頑張りで頂いた命だから、人一倍元気にこっから人生楽しむし、できる範囲で社会に恩返しします。』って言ってついこの前退院しました。

*倫理的背景から事実をある程度元にフィクションにしてあります。 

 

僕は腎臓内科という透析を導入する立場でありながら、日本の透析医療の『自分で自分の健康を守る責任』と『社会が個人の健康を守る責任』のアンバランスさには疑問を感じております。

 

 

コメンテーターみたいに外から偉そうに言う人間ではなく、自分自身が身をもって働く事に意味を感じて腎臓内科になりました。 しかしながら、最終的には冒頭の患者さんみたいに、今まである種好き勝手して透析になるという私が疑問に思う『アンバランスさ』を持っている透析医療であっても、その方が透析で得た命で充実した生活(アウトカム)そして、ちょっとしたプラスアルファ(なくても良い)で社会貢献、そして大切なのは与えられた医療に対する『有り難み』があればまた違った世界が見えてくるのではないかと思います。

 

医療費圧迫を背景に『透析=悪』という構図が出来つつありますが、透析医療自体は素晴らしいと思っています。

 

透析医療には、透析になる前の予防医療、透析になった人の終末期医療、死生観、家族の死生観、生活習慣関連以外の遺伝疾患や炎症疾患などならずべきして透析になった方の配慮など現場にいて感じる問題意識は多岐に渡ります。

 

数字では見えない世界が医療現場にはいっぱいあります。とはいえ、医者はマクロな数字を気にせず半径5mの正しさで医療をしているのも事実です。

 

うまくバランスをとる事の大切さを痛感した最近の出来事でした。

 

*この文面は、あくまで不摂生な生活からなるべくして透析になったケースから考えておりますが、遺伝疾患や炎症疾患でならずべくして透析になってしまった方に『有り難み』『社会貢献』を強迫観念の形で強要するものではありません。